【古文】帰京の攻略(P.60-61)

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帰京の基本情報

帰京は土佐日記の一節です。土佐日記は、紀貫之が土佐守の任期を終え、国守の館を門出してから帰京するまでの五十五日間の旅日記です。

タイトル 土佐日記
ジャンル 日記
作者 紀貫之
時代 平安時代 前期
ページ 高等学校言語文化 P.56-62

品詞分解・現代語訳

■京に入り立ちてうれし。

都に立ち入って嬉しい。

名詞
格助詞
入り立ちタ行四段活用動詞「いりたつ」の連用形
接続助詞
うれし。シク活用形容動詞「うれし」の終止形

■家に至りて、門に入るに、月明ければ、いとよくありさま見ゆ。

家に着いて、門に入ると、月が明るいので、たいへんよく(家の)様子が見える。

名詞
格助詞
至りラ行四段活用動詞「いたる」の連用形
て、接続助詞
門(かど)名詞
格助詞
入(い)るラ行四段活用動詞「いる」の連体形
に、接続助詞
名詞
明(あか)けれク活用形容詞「あかし」の已然形
ば、接続助詞
いと副詞
よくク活用の形容詞「よし」の連用形
ありさま名詞
見ゆ。ヤ行下二段動詞「みゆ」の終止形

■聞きしよりもまして、言ふかひなくぞこぼれ破れたる。

(噂で)聞いていたよりもいっそう、どうしようもなく壊れ、傷んでいる。

聞きカ行四段活用動詞「かく」の連用形
過去の助動詞「き」の連体形
より格助詞
係助詞
ましサ行四段活用動詞「ます」の連用形
て、接続助詞
言ふかひなくク活用形容詞「いうかひなし」の連用形
係助詞
こぼれラ行下二段活用動詞「こぼる」の連用形
破れラ行下二段活用動詞「やぶる」の連体形
たる。存続の助動詞「たり」の連体形

■家に預けたりつる人の心も、荒れたるなりけり。

家の管理を頼んでいた人の心も、すさんでいるのだなあ。

名詞
格助詞
預けカ行下二段活用動詞「あづく」の連用形
たり存続の助動詞「たり」の連用形
つる完了の助動詞「つ」の連体形
名詞
格助詞
名詞
も、係助詞
荒れラ行下二段活用動詞「ある」の連用形
たる存続の助動詞「たり」の連体形
なり断定の助動詞「なり」の連用形
けり。詠嘆の助動詞「けり」の終止形

■「中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、望みて預かれるなり。」

中垣はあるものの、一軒の家のようであるので、(先方から)希望して預かったのである。

中垣名詞
こそ係助詞
あれ、ラ行変格活用動詞「あり」の已然形
一つ家名詞
格助詞
やうなれ比況の助動詞「やうなり」の已然形
ば、接続助詞
望みマ行四段活用動詞「のぞむ」の連用形
接続助詞
預かれラ行四段活用動詞「あづかる」の已然形
完了の助動詞「り」の連体形
なり。断定の助動詞「なり」の終止形

■「さるは、たよりごとに、ものも絶えず得させたり。」

そうはいうものの、機会があるごとに(お礼の)品物も欠かさず与えていた。

さるは、接続詞
たよりごと名詞+接尾語
に、格助詞
もの名詞
格助詞
絶えず副詞
ア行下二段活用動詞「う」の連用形
させ使役の助動詞「さす」の連用形
たり。」断定の助動詞「たり」の終止形
 

■「今宵、かかること。」と、声高にものも言はせず。

「今夜は、このような(ひどい)ことだ。」と、(家来たちに大声で)言わせたりはしない。

「今宵、名詞
かかるラ行変格活用動詞「かかり」の連体形
こと。」名詞
と、格助詞
声高にナリ活用形容動詞「こわだかなり」の連用形
もの名詞
係助詞
言はハ行四段活用動詞「いふ」の未然形
使役の助動詞「す」の未然形
ず。打消の助動詞「ず」の終止形

■いとはつらく見ゆれど、こころざしはせむとす。

たいそうひどいと思われるが、お礼はしようと思う。

いと副詞
係助詞
つらくク活用形容詞「つらし」の連用形
見ゆれや行下二段活用動詞「みゆ」の已然形
ど、接続助詞
こころざし名詞
係助詞
サ行変格活用動詞「す」の未然形
意志の助動詞「む」の終止形
格助詞
す。サ行変格活用動詞「す」の終止形

■さて、池めいてくぼまり、水つける所あり。

さて、(庭に)池のようにくぼんで、水に浸かっているところがある。

さて、接続助詞
池めいカ行四段活用動詞「いけめく」の連用形 イ音便
接続助詞
くぼまり、ラ行四段活用動詞「くぼまる」の連用形
名詞
つけカ行四段活用動詞「つく」の已然形
存続の助動詞「り」の連体形
名詞
あり。ラ行変格活用動詞「あり」の終止形

ほとりに松もありき。

そのそばに松もあった。

ほとり名詞
格助詞
名詞
係助詞
ありラ行変格活用動詞「あり」の連用形
き。過去の助動詞「き」の終止形

五年六年のうちに、千年や過ぎにけむ、かたへはなくなれにけり。

(家を留守にしていた)五、六年の間に、千年も過ぎてしまったのだろうか、一部分はなくなってしまった。

五年名詞
六年名詞
格助詞
うち名詞
に、格助詞
千年名詞
係助詞
過ぎガ行上二段活用動詞「すぐ」の連用形
完了の助動詞「ぬ」の連用形
けむ、過去推量の助動詞「けむ」の連体形
かたへ名詞
係助詞
なくク活用形容詞「なし」の連用形
なりラ行四段活用動詞「なる」の連用形
完了の助動詞「ぬ」の連用形
けり。過去の助動詞「けり」の終止形

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